スキャナとOCRによる電子化のメリット


PCのみならず、タブレットやスマホにおいても、テキスト入力が可能になり、手書きに頼ってきた紙文書はめっきり少なくなりました。
それでも、昔ながらの承認手続きや、契約手続きなどによる押印のために電子データ保存されているExcelやWordの文書を、わざわざ紙で出力するケースが、多くの業務で残ってしまっています。

折角、キーボードで入力されてコンピュータ処理できるデジタルデータであったものが、昔ながらの風習で押印処理のため紙出力されてしまっては、たとえそれをスキャナで読み込んでPDF化して電子データとして送ってもらったとしても、そのままでは画像データと同じく、記載されている文字や数字がどのような内容なのかコンピュータには理解できません。
このため、たとえば、注文書や請求書が紙やPDFで送られてきたとしても、その金額の入力や、照合作業は、人が目で見て数字を認識して処理をすることになります。これでは、手間がかかるのは当たり前で、ミスも発生しがちです。
こうした業務プロセスでは如何に無駄が多いか、また、ExcelやWordの文書の電子データをそのまま送ってもらえれば、どれだけ楽になるのかをよく考えれば、紙出力の業務をBPRの対象にすべきであることは誰の目にも明らかです。
しかしながら、相手方の業務プロセスの修正が伴うことであったり、承認や決済方法まで変更しなければならないため、なかなかBPRを進めづらいのも実情です。

そうなると、OCR等のツールを使い、テキストや数字などデジタル形式のデータへ戻してあげることが現実的です。
この方法であれば、現在AI技術によって認識精度が上がったAI-OCRによって、手書きの紙文書であってもスキャナによって作成された電子データの内容を文字認識できます。
OCRによって、文字認識できた数値などは、入力や照合したい業務のアプリケーションにAPIがあれば、ETLツールなどによって、人が入力する手間もなくシステムに取り込むことができます。
そうして、可能な限り自動的にシステムと連動できるような仕組みができれば、近い将来、認識可能な電子データで注文書や請求書が送られてくる業務プロセスに変更されたとしても、インプットを変えるだけなので無駄にならず、すぐに対応が可能になります。

この時、注意が必要なのは、OCRで処理されたデータは、システムに転送する前に、ありえない文字や数字を除外するようなデータのクレンジングをすべきということです。
そうすれば、業務アプリに取り込んだあとに対処すべきエラー処理の作業を削減できます。
クレンジングによって見つかったエラーは、OCRを適用する範囲設定を変更するなど、適宜チューニングをすることによって効率化できます。

また、業務アプリ側にAPIが存在せず、手入力でしか方法がない場合などは、RPAのソフトウェアロボットに任せる方法もあります。
このロボットで何をどのように操作させるかの指定をすることによって、最終的に人の目検が必要な場合などにおいても、確認し易いように帳票やフォームを左右並べて表示されるような事もできるため、業務内容によっては、ETLよりRPAの方が向いている場合もあります。

スキャンしたデータの格納先は、最近はリモートワークも普及していることもあり、クラウド上のストレージに直接データを格納できるような機能もあると便利です。
複合機でスキャンするだけで、OCRを通してデジタル化されたデータに変換した上で、クラウドストレージに自動的に格納できる仕組みであれば、各拠点でスキャンされたデータを、本社で一括で処理できるようなメリットもあります。
電子帳簿保存法の遵守だけが目的であれば、法に従った保存方法をすればよいのでPDFのデータのままでもよいのですが、業務の効率化を考えれば、もう一歩進めてOCR等で可能な限り業務を自動的に連動できる仕組みまでBPRができると、かなりの効果が期待できます。


スキャンしたデータは、OCRで業務アプリに連動すべき


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