富士通のメインフレームが2030年をもって販売終了となるニュースは、メインフレームユーザにとって衝撃的でした。いずれDXによってレガシーシステムを移管しなればならないと思っていながら、わかってはいたけれども先延ばしにしてしまっていたメインフレームユーザにとっては、具体的なタイムリミットによって終焉を意識せざるおえなくなりました。
1980年代に全盛期を迎えていたメインフレームも、2000年を迎える頃にはWindowsや、UNIXサーバの低価格、高性能化により、オープン系への移行が叫ばれるようになり、多くのユーザでオンラインの情報系システムなど企業におけるオープンシステムの割合も増えていきました。
しかしながら、スーパーコンピュータなどオープンシステムがどんなに高速化しても、アーキテクチャの違いにより、堅牢性や、セキュリティなどの面からメインフレームの良さがあることと、OSのみならず運用面でも全く違うことから、オープンシステムへ重要な業務を移行することを躊躇している企業が残っていることも確かです。
特に金融系の勘定系システムなど、大企業の基幹システムを中心に長年活躍してきたメインフレームは、高度な信頼性・可用性・保守性が評価され60年以上に渡り日本でも汎用コンピュータとして企業に貢献してきました。しかしながら、価格性能比と、技術革新による抜本的な機能拡張等は望めないことから、企業にとってお荷物になってきているのも事実です。
ここで注目したいのが、富士通の発表では、メインフレームは2030年度販売終息・2035年度保守終了、UNIXサーバは2029年度販売終息・2034年度保守終了となっていることです。つまり、UNIXサーバは、メインフレームより1年前に終息させ、メインフレームの移行先として存在しないということです。以前であれば、メインフレームのオープン化といえば、Windowsや、UNIXサーバへの移行を指しましたが、富士通が意図しているのはクラウドへ移行だということが大きな違いです。
20年前であれば、クラウドシステムは、セキュリティが心配なためクラウド上で基幹業務を稼働させるなんてとんでもないというイメージでしたが、現在は、パブリッククラウドであっても、様々な業務サービスが稼働しています。
私たちは、メインフレームからの脱却に際しても、単に昔からあるオープン化ではなく、パラダイムシフトとして受け入れなければいけません。つまり、常識と思っていた考えを改め、概念や価値観がすっかり変わったことを認識する必要があります。昔あったダム端でTSSを使用していたことは忘れて、クラウドサービスによってPCを使用せずとも、出社しなくてもスマホで業務をこなせる時代になったことを意識して、DXに取り組む必要があります。
メインフレームやUNIXサーバは、クラウドシフトさせる