ローコードやノーコードのプロクラム開発がトレンドになってきておりますが、AIの世界でもローコードやノーコードでマシンラーニング(ML)を使用できるAIプラットフォームが数多く普及してきました。
従来は、Tensorflowなどの機械学習用のライブラリを使って、Pythonでプログラミングするようなイメージがありましたが、それが、たとえばGoogleのCloud AutoMLのようなクラウドサービスを利用すれば、AIの専門知識がなくても、独自のデータを使ってAIを活用できます。例として、AutoML Tablesでは、基本はUIを使ってデータセットをインポートし、モデルを選ぶだけという流れで、どこにもコーディングする必要がありません。クラウドサービスなので、インストールが不要で、使用した分だけの料金で済む手軽さです。
マシンラーニングをするための手順や専門知識の習得に時間をかけるより、むしろ必要なのは、どこにこのAIを活用するかを選定することでしょう。やはり、AIの性格上、意思決定をするためのデータ分析に向いています。過去の人の経験や感覚にのみに頼るのではなく、過去のデータの蓄積によって科学的な分析ができることは、かなり役立つ分析結果が期待できます。特にマーケティング分野には有効で、顧客ごとの購買行動を分析して、どのようなキャンペーンを誰に打つかとか、季節変動する購買量を分析して、生産や発注ロスを少なくするなど、戦略的な施策を作るのに役立ちます。
以前から、クラウド上で自社のデータを取り扱うのは、セキュリティ上問題視されていました。よって、使用するプラットフォームの利用規約はチェックしておくべきでしょう。また、こうしたローコードやノーコードプラットフォームでは、カスタマイズがほとんどできません。シンプルであることは、使用方法も楽でメンテナンス性も優れているため、メリットも多いですが、機能が制限されてしまうことが困る場合や、業務システムに組み込んで自動化する場合などは、やはりプログラミングも必要なため、全てが、ローコードやノーコードに置き換わるわけではないでしょう。
もちろん、オンプレミスなどの環境で、ローコードでAIを使った推論ができるツールなどもあります。こうしたものは、EAI/ETLツールのようにGUIで設定ができ、セキュリティ面でも安心で、RPAなどと連動すれば業務システムに組み込んで自動化することも可能です。
いづれにせよ、ローコードやノーコードでAIを利用できる環境が整ってきたことは、技術的専門知識がまだ少ない人も、AIの活用が可能になり喜ばしいことです。とはいえ、どのモデルを選んだらよいのか、あるいは、何を分析すればよいのかなど、ある程度企業で活用できるまでには、学習すべきことや試行錯誤する時間はまだまだ多く必要になりそうです。
ノーコードだと専門家でなくてもAIが活用できる