RPAが流行した当初は、PC操作などの人の作業を代行してくれるソフトウェアロボットが、業務の自動化が実現してくれるということで、業務用PCやサーバへのRPA導入が主流でした。
最近では、業務のクラウド化も進み、RPA as a Service(RPAaaS)という言葉も注目され始めました。
このRPAaaSという言葉は、RPAのベンダーによって意味が異なるようですが、基本的には、RPAのベンダーが、クラウド環境でMSP(マネージドサービスプロバイダー)として提供するRPAサービスとは別のものと考えた方がよいでしょう。RPAサービスは、かなり以前からRPAのベンダーより、ユーザのPCやサーバにソフトウェアロボットを導入しなくても稼働できるサービスとして、たとえばWEBブラウザ経由でロボットを動かすような仕組みで提供されています。これは、クラウドサービスのアプリケーションを使用する時と同様、ベンダーの方で、RPAのバージョンアップや運用を行ってくれるので、環境さえ合えば、手軽にRPAを実践でき、ソフトウェア資産を保有しなくてもよいのでメリットも多いです。
一方でRPAaaSは、このRPAサービスとは別の意味で使用されることが多く、基本的には、クラウド事業者がSaaS(Software as a Service)のような価格設定で提供するものを指します。クラウドにある仮想サーバのインフラをそのユーザのホスティングサービスとして提供する中に、ユーザ専用のRPAライセンスも含めるようなケース、あるいはRPAライセンスを使用量に応じでオンデマンドで課金されるような形態もあります。現在では、大手のクラウド事業者の中でも対応できているRPAツールも限られ、かなりメジャーなものでないとRPAaaSの提供はできないようですが、今後は、かなり選択肢も広がっていきそうです。
業務システムのクラウド化が進みつつある現代では、こうしてソフトウェアロボットもクラウド事業者が、月額料金で提供する環境が広がってくると、ますますユーザはコストとインフラを中心にシステムの運用保守の面でメリットを享受しやすくなります。すでに、オンプレミスでRPAによる業務システムの自動化を進めてしまったところでも、クラウド化してからも、同じRPAツールを使用してそのまま自動化できる可能性も広がります。
RPAaaSを活用すれば、RPAのインストール不要でソフトウェアロボットが使え、契約内容によっては使った分だけの支払いで、規模や期間を自由に選択でき、クラウドなので様々な拠点や場所からアクセスできます。運用管理の手間とコストが削減できるため、これからRPAの導入を検討するユーザであっても、レンタルのイメージでスモールスタートできるので、RPAを購入して失敗するリスクなども軽減でき、比較的容易にロボット化を促進できそうです。
あえてデメリットをあげるとすれば、現段階ではクラウド環境によって使用できるRPAの種類が少なく選択肢が限られること、そのためにベンダーによる囲い込みが行われたように感じる場合があることなどです。
RPAaaSは、従来のRPAサービスでは提供しきれなかった機能や環境をサポートできる可能性が広がり、今後のソフトウェアロボットが活躍するシステム作りを後押ししてくれそうです。
RPA-as-a-ServiceとRPAサービスとの違いを理解する