経済産業省の令和2年2月28日付DXレポート2には、企業がDXの具体的なアクションを組織の成熟度ごとに設計できるように、DXをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションという3つの異なる段階に分解できるとしています。
この3つの段階は、必ずしも順を追って実施すべきものというけではなく、個々の業務がどの段階のステージにいるのかを把握するために、こうした分け方もあるという見方で取り扱うと現状や進捗の把握にとても有効です。
DXの構造
- デジタイゼーション(Digitization)
・アナログ・物理データのデジタルデータ化
- デジタライゼーション(Digitalization)
・個別の業務・製造プロセスのデジタル化
- デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)
・組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、
”顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革
第1段階のデジタイゼーションは、たとえば紙文書の内容をスキャナーで取り込み、OCR技術によってコンピュータで処理できるデジタルデータに変換するなど、アナログ・物理データの単純なデジタルデータ化を実施します。デジタル録音や、画像や動画のデジタル変換なども同様に、音や映像の情報もデジタルデータ化をすることによって、コンピュータによって処理ができるようになります。
第2段階のデジタライゼーションは、業務プロセスのデジタル化で、ここでは本来人が自身の作業として行ってきたタスクをそれぞれシステム化します。たとえば、売上の報告書を、今まで人が1枚1枚人が電卓を使って集計していたような業務も、デジタルデータ化された売上データをインプットとして、コンピュータに集計させます。これにより、圧倒的な効率化が図れます。流行りのRPAによるロボット化は、業務のプロセスとプロセスの間に行う人による操作の作業指示等までもソフトウェアロボットに任せ、業務プロセスの一連の流れもすべて自動化し、極力人の作業負担を減らすことが可能になります。
第3段階は、DXの語源であるデジタルトランフォーメーションと同じ名称で、事業やビジネスモデルの変革はここに属するのですが、DX推進指標における”DXの定義”に基づくと、世間で使用されているDXという言葉は3つの段階すべてが含まれるようです。ここまでいけば、DXは、組織あるいは会社全体のビジネスに影響するような変革が実感できます。
IT化や、デジタル化という聞きなれた言葉も、デジタイゼーションと、デジタライゼーションに分けて整理してみると、業務のIT化の現状が見えてきます。未だに、人手に頼っているような業務は、もしかしたら、そのもとにする情報はデジタイゼーションができるかもしれません。そのデジタル化された大量のデータをインプットにしてAIなど最新技術を使えば、デジタライゼーションでシステム化できるかもしれません。そうなれば、ベテランに頼っていた経験が必要な作業も、過去の膨大なビッグデータを元に、DXが目指すビジネスモデルの変革に結びつくような圧倒的な効率化と生産性の向上が見込めるかもしれません。
DX構造の3つの段階を理解できれば、将来あるべき姿が見えてきます