DX(デジタルトランスフォーメーション)の起源


業務改革といえば、DX(Digital transformation:デジタルトランスフォーメーション)がトレンドですが、それは、経済産業省の『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』の中で、DXが進まなければ、2025年以降、最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると訴えていることにインパクトがあるからでしょう。

しかしながら、DXの歴史は、BPRより古く、デジタルトランスフォーメーション、つまり現代で使うDXという言葉は、2004年にスウェーデンのウメオ大学の教授Erik Stoltermanが "Information Technology and the Good Life" の中ではじめて提唱したとされています。

この文章の中で、DXとは、デジタル技術が人間の生活のあらゆる面に引き起こしたり、影響を与えたりする変化のことだと理解できます。
DXに伴う最も重要な変化の1つは、ITと、ITを介した現実が、徐々に混ざり合い、結びついていくことです。
デザインされたオブジェクトは、システムやネットワークの一部となり、他のすべての部品やオブジェクトと常にコミュニケーションをとることができるようになると述べられています。
現代のSNSやIoTを見れば、まさにその方向に進んでいるといえます。

そして、これらの新しい現実、新しいシステムは、もちろんデザインされたものですが、別のレベルでは、ローカルなデザインがより大きなネットワークのシステム的な変化に貢献するような、進化する実体として見ることができるとあります。
更に、すべてのデザインが私たちの現実に新たな部分を加えるという考え方は、新たな真の意味を持つことになるでしょうと予言しています。
変革のもうひとつの重要な側面は、デジタル・オブジェクトが物理的な現実の基本的な素材となることです。そうなると、物理的な現実はある程度インテリジェントになります。デザインされたオブジェクトは、環境の変化や状態、人間や他のオブジェクトが行った行動について、自分自身や自分が属するネットワークに情報を提供する力を持つようになります。これは、情報技術の反射性という概念に新たな次元を加えるものであるとしています。
こうした考え方は、 スマホによる仮想空間が、日常に溶け込んでいる現代を鑑みればすべてが感慨深いものとなります。

この論文の中で、テクノロジーは人間の手に負えるものではないとし、良い生活を求めるためには、テクノロジーを批判的に検討するという研究姿勢が必要であると訴えています。
ITに頼り切っている現代において、このあたりは、今後DXを推進していく上で参考にすべきことなのかもしれません。


ITが現実と融合してビジネスや人々の生活が変革する


BPR, DX