ソフトウェアのライフサイクルポリシー


ソフトウェアにも寿命があります。金属製の事務机が法定耐用年数15年であるのに対して、使用すればするほど損耗するわけでもないのに、一部の例外を除き原則5年がソフトウェアの製品耐用年数です。

これは、それだけIT技術の進歩により、製品としての陳腐化する速度が早いからでしょう。
以前であれば、ファームウェアとしてROMなど書き換えができな状態で出荷されていたIT機器も、最近はIoTブームもあり、家電レベルでもプログラマブルロジックデバイスによって、制御するためのソフトウェアを内蔵し、インターネットを通じて機能拡張やバグ修正もできる機器が増えています。つまり、ソフトウェアは、製品として誕生してからも、変化し成長し続けて、時代や環境にそぐわなくなった場合に終焉を迎えます。そのため、耐用年数とは無関係に製品として延命させることができ、それが魅力である一方、常にバージョンアップすることを前提にその作業をしなければならないことを受け入れる必要があります。このソフトウェアの更新作業も、設定によりインターネット経由で自動に行われるものが多くなり、そんなに手間ではないものも多くなりましたが、現在では、多くのさまざまなアプリケーションソフトが連携して業務が成り立っているため、ソフトウェアの更新作業が他にどの程度影響があるのかを調査せずに自動更新してしまうと、業務システムに不具合が出てしまうケースもあります。

たとえば、2022年6月にサポート終了したMicrosoft社のInternet Explorer(IE)は、2023年にはWindowsのアップデートにより、IEを起動しても自動的にMicrosoft Edgeに切り替わるようになりました。 セキュリティリスクを考えれば、メーカーが取るべき処置としてやむを得ないのかもしれませんが、当時全盛だったIEのブラウザで稼働することを前提に作成されたWebアプリケーションも多く、多くの企業がその影響範囲を洗い出し、場合によってはプログラムの変更やツールの入れ替えなどが必要になり、かなりの時間と労力を要す企業や組織も多いです。EdgeのIE互換モードでその場をしのげたとしても、2029年にはそれさえサポート終了予定です。
こうなると、自社で導入している業務に関連するソフトウェアは、そのライフライクルを意識して計画的に使用する必要があります。Microsoft社などは、モダンライフサイクルポリシーや、固定ライフサイクルポリシーといったように、製品によってライフサイクルポリシーを明確化しています。ユーザは、それを認識して運用していく上でのリスクを回避できるように準備し、対応する必要があるでしょう。

ソフトウェアのツールやサービスによっては、ライフサイクルのポリシーがあまりよく分からない場合も多いです。そうした中、サブスクリプションタイプのアプリケーションソフトなどが多くなって来ましたが、こうしたクラウドサービスなどに移行し、他のアプリケーション連携等もプラグインなどに任せていくことで、自社でソフトウェアのバージョン管理の負担を軽減し、業務システムの安定稼働にも少しづつ貢献していくのかもしれません。


ソフトウェアのライフサイクルポリシーの確認が必要


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