アマゾン ウェブ サービス (AWS) に代表されるようなパブリッククラウドのサービスを利用する場合、システムの構築は、各サービスが提供するWebブラウザ上で表示される設定画面などのGUIや、場合によってはAPIを利用して接続するなどの操作が行われます。
パブリッククラウドの環境では、自前で準備をしなくても事前に用意されている機器が多いため、かえってどのような設定でシステム構築されたのかが、分かりづらくなってしまう場合もあります。
そのため万が一、障害等でシステムをリセットする場合などで困らないように、システムの初期設定の段階から、設定内容の変更時の操作まで、作業内容をログとして残しておくことが大切です。
パブリッククラウドのサービスを使用開始する時から、システム構築時のログを残しておくことで、障害対応や、サイバー攻撃などのセキュリティ対応時に環境の再現を容易に行なえるので、緊急なリカバリーが必要な場合などに安心です。
クラウド環境でも、様々なログが収集されています。
管理すべきログを洗い出し、その収集方法がオンプレミスの場合とどのように違うのがを確認する必要があります。
まず、SaaS、PaaS、IaaSといったクラウドの形態にかかわらず共通して管理対象として必要なのが、クラウドサービス利用者の操作ログです。
そして、PaaS、IaaSでは特にそのシステムのサービスやリソースについて、クラウド基盤上で稼働しているシステムのログを管理することが重要になります。
こうしたログは、使用するクラウドサービスやシステムが増えれば増えるほど、監査や管理対象となるログも増え続けます。
パブリッククラウドを利用する上で、クラウドサービスによって収集されたログを取り扱う上で様々な問題が懸念されます。
◆クラウドのログ管理する際の問題点管理すべきログが多くなると、クラウドサービスで標準に使用できるログの管理画面からだけでは、フォーマットが統一されていなかったり、ログの意味がわからなかったりと、運用する側の負担も大きくなる一方です。
管理者への負荷はそのままコスト増大にもつながり、サービスレベル低下の恐れも出てきます。
企業や組織によっては、業務や使用したいアプリケーションのサービスが使えないなどの理由で、複数のクラウドサービスを利用することが多くなりました。
それを管理する情報システム部門は、使用するサービスによって、ログのフォーマットが違うため、これがログを管理する上で大きな負担となってしまいます。
クラウドサービスの利用状況をログから把握することで、サービスにかかる費用を抑えるような活用もできます。
たとえば、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) などは、クラウド内で、使用するリソースのサイズ変更が行えます。
使用状況に応じて適正な変更を行うことができれば、コストも抑制できます。
たとえば、ある業務において、Amazon EC2のログからこのようなグラフを得ることができた場合、
例えば、Logstorageで統合ログ管理を行う場合、すでに各種メジャーなパブリッククラウドの連携パックが用意されています。
□ AWS 対応パック □ Azure 連携パック □ GCP 連携パック □ Box 連携パック □ Office365 連携パック □ G Suite 連携パックLogstorageは、社内環境であるオンプレミスでも、クラウドの環境でも、あるいはその両方のハイブリットのいずれの環境においても構築が可能です。
たとえば、オンプレミスとAWS上のログを各環境のLogstorageのサーバであるLogGateで収集して保管します。
AWSが出力した各ログは、AWSのクラウド側に構築したLogGateに保管し、参照したい必要な情報だけを LogGateから取得することで、AWS転送コストを削減することができます。
また、LogGateで収集したログをハイスペックなブロックストレージのAmazon Elastic Block Store (Amazon EBS)から、比較的安価なAmazon Simple Storage Service(Amazon S3)のストレージへ、Logstorageのアーカイブ機能を使って移動させることよってストレージのログの保管コストを抑えることができます。
AWSなどのクラウドサービスのように、実際のサービスでコンピュータリソースを使用した時間や、ストレージなどの使用量に応じた従量課金のサービスが多く普及しています。
従量課金の場合、部門や業務によって、コンピュータの使用量が違うため、均等割りで社内付け替えが行われると不公平になってしまいます。つまり、先月は他部門が使用したにもかかわらず、その業務に関係が無くても費用負担が増してしまうからです。
そうなると、誰が何のためにクラウドサービスをどれだけ利用したかを把握し、そのリソースの使用量に応じて、請求額を按分し、社内付け替えができる仕組みが求められます。
按分した請求額には、当然その使用目的などにより政策的に調整が入る場合がありますが、何を元に判断したかを厳格にするためにも、社内で割り振る請求額は、使用履歴などのログを元に金額を算出すべきです。
AWSの場合であれば、AWS Billing and Cost Managementのレポートでこうした情報を得ることができます。
AWSの請求情報とコスト管理を行うサービスであるAWS BillingのログをLogstorageと連携して活用することで、AWSの請求を分析し確認できます。
たとえば、AWSの請求金額を、部門や管理者、システム別に使用量に応じで一覧表にすることができます。 AWSのタグを、Logstorageのログフォーマット定義で使用するタグに紐づけることで、分かり易いレポートの作成が可能です。
AWSでは、ユーザー定義のキーと値で構成されるラベルの役割を果たすタグをリソースにメタデータとして割り当てることができます。
タグは、リソースの管理、識別、整理、検索、フィルタリングに役立ち、リソースを目的、所有者、環境その他の基準別に分類することができます。
AWSのBillingレポートに出力するタグを有効にすることでレポートを見やすい形で分類や集計することが可能になります。
AWSのタグは、Logstorageのタグにも紐づきます。
AWS Billingのデータをログとして、Logstorageに取り込むことにより、AWSサービスの利用状況の把握がグラフ等で分かり易くレポートできます。
すでに利用していないサービスで料金が発生していないかの確認や、通常より比率が多いサービスの把握などができます。
アマゾン ウェブ サービス(AWS)の構成変更の通知、構成履歴、AWSリソースのインベントリー情報を提供するサービスサービスであるAWS Configから、Logstorageが構成情報などをログとして取り込み、その設定のスナップショットをレポート出力することができます。
AWS Configのログを分析することにより、予期しないリソース変更があった場合の確認や、AWS上に展開している各リソースの相関関係などの把握が可能になります。
また、AWS Configの最新スナップショットを取得し、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)の仮想ネットワークVirtual Private Cloud (VPC) 内のリソース構成図をレポート化することが可能なため、構成情報の変化などが適宜分かり易く記録できます。
AWS Configのログより得た情報に従い、VPC内のリソース構成情報のスナップショットがレポート出力できるため、AWSのVPC内のリソース配置状況をログから視覚化することができます。
どのマシンがどのVPC内にあって、どのネットワークに繋がっているかなど、構成図によってビジュアルに確認できるためたいへん便利です。
AWS Configは、AWSリソースの設定を評価、監査、審査できるサービスで、AWSリソースの設定を継続的にモニタリングし、記録しているので、それにより変更管理、トラブルシューティング、監査やセキュリティ・インシデントの分析等に活用できます。
AWS Configのログ収集方法の一つとして、AWS Configのイベント通知を利用するやり方があります。
AWS Configに対して、リソース変更発生時にその変更内容をあらかじめ Amazon SNSトピックにストリーミングするように 設定しておきます。
Logstorageは、メッセージキューイングサービスであるAmazon Simple Queue Service (SQS)を介して、AWS Config用CollectorによってSQSメッセージを取得し、AWS Configによって通知された情報をログとして取り込みます。
もう一つのAWS Configのログ収集方法のとして、オブジェクトストレージサービスであるAmazon Simple Storage Service (Amazon S3)のイベント通知を利用するやり方があります。
AWS Configが、記録データをAmason S3のBucketに、.gz形式のファイルとしてデータ保存すると、Logstorageは、Amazon SQSを介して、SQSメッツセージを取得してファイルが保存されたことと知り、そのデータファイルをAWS Config用Collectorでログとして取り込みます。
AWS Configスナップショットレポートの種類としては、PDF、HTML、CSVの形式で出力可能ですが、そのレポートに出力可能なオブジェクトとしては、次のようなオブジェクトがあります。
一般的なパブリッククラウドで行う操作は、それぞれのクラウドサービス毎にログが収集されています。
それを見やすく一元的に集中管理するためには、Logstorageのような統合ログ管理システムに連携することがとても有効です。
下記に、各クラウドサービスで得られる操作ログの例を紹介します。
マイクロソフト社が提供するクラウドプラットフォームのMicrosoft Azure(アジュール)では、Azureアカウントの操作履歴を記録・出力するサービスのAzure Activity
Logから、ログを参照できます。
Azureのユーザが、いつ、何をどのように操作したか等を確認する場合に有効ですが、その監査ログあ90日間のみの制限があり、それ以前のログが参照できません。
そのため、Logstorageでは、Azure Activity
LogからJSON形式のログをConverterを介して変換して独自のログのデータベースへ取り込み、保管期限を延長して90日以前のログの集計や分先が可能になります。
アマゾン ウェブ サービス(AWS)アカウントの APIコールを記録するサービスであるAWS CloudTrailの情報から、特定期間に操作したユーザを特定したり、どのAWSユーザが、いつ、何をどのように操作したかや、調査したい操作がどのIPアドレスから行われたものなのかなどを調べることができます。
Google社が提供しているクラウドコンピューティングサービスのGoogle Cloud Platform(GCP)の監査ログからも、いつ、誰が、どこから、何をどのように操作したかなど、特定の期間について調べたりできます。
GCP上に保管される期間が30日と短いため、Logstorageのようなログ管理システムに取り込み、かなり以前の情報であっても確認できるようにすると安心です。
パブリッククラウドのサービス提供会社はもちろん、LogstorageにはメジャーなクラウドストレージサービスであるBox(ボックス)についても連携機能があります。
クラウド上にあるオンラインストレージは、セキュリティ対策のためにも、使用者を限定して、不正なアクセスがないか常に監視が必要です。
厳密には区別しきれるものではありませんが、使用者側からの視点の操作ログに対して、クラウド上にあるファイルやデータベースなど、リソース側へのアクセスの視点で見るアクセスログがレポートできる仕組みがあることも必須条件であり、日々運用管理を効率的にするためには統合ログ管理システムの構築が有効となります。
Boxは、ファイル共有を中心としたオンラインストレージのクラウドサービスですが、Logstarageとの連携により、Box上のアクティビティログを可視化し分析する基盤を提供し、 監査したいアクティビティを定期的にレポーティングすることにより、ログのモニタリングにかかる運用負荷を軽減することができます。
アマゾン ウェブ サービス(AWS)の 様々なコンポーネントからの情報でアクセスログが取得できます。
Azure Storageのアクセスログから、例えば管理対象外のIPアドレスからアクセスが発生している疑いを調査するような場合、ファイルアクセスがある時間帯やファイルアクセスを特定して分析することができます。
Google Cloud Platform(GCP)のデータアクセス監査ログは、デフォルトは無効ですが、データを保持するGCP サービスについて、データの読み込みや書き込みがされた際に記録を残すことができます。
クラウドの利用の目的に、Offie365などのメジャーなグループウェアが業務効率改善のために使用できるというケースが増えてきました。
グループウェアは、テレワークの時代、多くの人がいろいろな場所から使用するため、セキュリティリスクを軽減するためにも、操作ログやシステムログなど、様々なログを管理することが重要です。
マイクロソフト社が提供するクラウドサービスであるOffice 365は、社内のOfficeソフトとしてもなじみがあるExchange、SharePoint、Teams、Excel、Word等が、クラウドによって、使用場所や、使用デバイスをあまり限定せず利用することが可能です。
Google社がサブスクリプション形式で提供しているグループウェアサービスであるG Suiteは、メールや、ドキュメント、カレンダーなどのサービスが、トータルに提供されています。
クラウドサービスを利用して、マシンやネットワークなどシステム側のログを分析することは、最適なパフォーマンスを適切な費用で安全に運用するために必要です。
下記に、各クラウドサービスで得られる代表的な例を紹介します。
Amazon CloudWatch Logsは、Amazon
EC2 インスタンス上のログや、ネットワーク上の通信ログを収集するサービスです。
Logstorageと連携することで、Windowsイベントログや Linux syslogの収集が可能になります。
また、 VPC内のネットワークインターフェイス間で行き来するIPトラフィックに関する情報をキャプチャできるようにする機能のVPC Flow Logsの収集も可能です。
Amazon CloudWatch Metricsは、AWSの各種リソースを監視するマネージドサービスであるAmazon CloudWatchの1機能で、例えば、EC2のCPU、ディスクIOといった性能情報を参照することができ、AWSの各リソース とアプリケーションのモニタリングが可能です。
Azure上の仮想ファイアウォールであるAzure ネットワーク セキュリティ グループは、送受信されるトラフィックを規則に基づいて評価し、送受信トラフィックを許可または拒否する設定をする事ができます。
例えば、MACアドレスやルール別にパケットフロー数を分析して、構築時に通信が通らないといった場合に、どのポリシールールで拒否されているかを確認することが可能になります。