記憶と記録とログ管理


記憶はあいまいだから、記録することが大切だ、とよく言われています。だからこそ、ログ(記録)を取得することは重要だということになりますが、果たしてそんなに単純でしょうか?

有名人がよく「記録より、記憶に残る人になりたい」と名言を語りますが、記憶することが決して簡単なことではないからでしょう。
記憶に残るには、目や耳など五感で入ってきた情報は短期記憶として一時保管のエリアに数秒から数分間記録され、生きていくために必要と感じられるものなど一部の情報だけが、脳の奥にある海馬を経由して、大脳皮質の長期保存される複数のエリアに移動して、脳神経で構成されるニューロンの回路としてネットワークが形成され長期記憶に変換されると言われています。

海場では、一時保管した情報に重みづけをして、その重要性を判断して大脳に信号が送られ長期保存される情報が決められるようです。 ここで重要なのは、入ってきた情報を仕訳するという点と、その情報を活用できる形にネットワーク化するという点です。シナプスと呼ばれる脳の神経細胞であるニューロン同士の接合部分は、細胞間で特殊な神経伝達物質を放出しており、そこで信号の伝達が頻繁に行われると、ニューロンのつながりが強まり、伝達効率が上がります。このシナプスの働きが弱まると、情報が伝達できないため、学習などによって頻繁に伝達することで、長期に情報を取り出し活用することができます。学習の際には、たとえばストーリーを作って意味のある関連を持たせて覚えると、記憶に残り易いと言われています。

これは、ログの管理でも、重要なポイントです。 様々な機器やソフトウェアのログを、保管するまでは比較的単純な作業ですが、それでは情報は貯まる一方で保管スペースがいくらあっても足りません。そのため、安価なディスクや外部デバイスなどへアーカイブさせる必要がありますが、その際に、本当に必要とされる情報のみに編集して、移動させるデータを選別した方が効率的です。そして、その仕訳の際に、そのデータがどのような意味を持つのか情報を情報を付加することで、そのログデータが活用し易くなります。あるいは、ログデータを集めて分析する際に、様々のデータを関連する項目で結合して集計すれば、役立つレポートが作成できます。

脳が記憶する際の海場の動きは、ログ管理を行う際も、どのようなデータをどのように取り扱って処理すべきかとても参考になります。ログデータの活用を考える際にも、脳がどのようなデータ処理をしているのかを深堀すればきっと役立つことでしょう。


ログ管理には、脳の記憶のメカニズムが参考になる


記録, 記憶