2022年12月21日付けで経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「デジタルスキル標準」は、先に公開されていた「DXリテラシー標準」に、「DX推進スキル標準」の2種類を合わせた構成になっています。
その中の「DXリテラシー標準」は、経営層から新入社員まですべてのビジネスパーソン一人ひとりがDXに関するリテラシーを身につけることで、DXを他人事でなく自身の事ととらえて行動できるようになることを狙って策定されており、その心構えの基盤となるマインド・スタンスが明確に示されていることが特徴です。
ここでいうマインド・スタンスとは、社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要な意識・姿勢・行動を定義することであり、「個人が自身の行動を振り返るための指針かつ、組織・企業がDX推進や持続的成長を実現するために、構成員に求める意識・姿勢・行動を検討する指針とする」と説明されています。
企業・組織を中心に社会全体のDXが加速しているのは、社会環境やビジネス環境の変化に対応すべく、組織や年代、職種などを問わず私たち一人ひとりは、人生100年時代を生き抜くためにも、自身の責任において学び続けることが重要となることを明言しており、個人個人が主体的にDXリテラシーを高めるために行動することが大切だということがわかります。
従来、政府関係機関が主導して民間にIT化推進を推奨する場合、企業はどうしても受け身になり易く、あまり盛り上がらないケースが多くなる傾向がありました。しかし、差し迫った2025年の崖に目を向ければ、DXは多くに企業にとって決して無視できない課題です。その際、いくら経営側が旗を振っても、社員のDXに対する取組み姿勢に問題があれば業務改革が上手くいく可能性が低くなります。そのため、経営者も社員も、モチベーションが大切なことはもちろん、両者が責任を持って主体的に、そして能動的に行動できることがDXのカギとなります。
この新たな価値を生み出す基礎としてのマインド・スタンスは、①変化への適応、②コラボレーション、③顧客・ユーザーへの共感、④常識にとらわれない発想、⑤反復的なアプローチ、⑥柔軟な意思決定、⑦事実に基づく判断、の7つの項目について、行動例も交えて具体的に解説されています。こうした項目は、従来の社会人の常識とは異なるものも含む知識や、スキルの学びの指針が必要というDXリテラシー向上のために必要な土台ととなるものです。
井の中の蛙であっては、常識を打ち破るようなDXは実現できません。あえて、常識と異なる知識を学ぶ姿勢でDXリテラシーを身に着けようとする個人が増えてこれば、社会全体も変革が始まり、過去の常識が通用しなくなってくる世の中がやってくるのでしょう。
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