RPAのコモディティ化とツール選択


RPAも一時的なブームが去り既に成熟の時期に入ってきたようですが、RPAにすでに投資して実践した企業や組織の中には、期待するほど上手くいかなかったと感じているケースもあるようです。
そんな中でも、業務自動化の需要は高まるばかりで、ノーコード開発の部類にも入るRPAは、IT開発の知識がなくても比較的簡単にRPAのソフトウェアロボットが作成できるツールやサービスの選択肢も多くなり、ますますコモディティ化が進んできたと考えられます。つまり、必要としている機能を搭載したツールが揃ってくると、安くて手軽に導入できるものが好まれるようになってきました。

RPAツールの中でも、RDA(Robotic Desktop Automation)と呼ばれるPC単体での操作を自動化できるツールは、WordやExcelなどのようなオフィスツールと同様、比較的高度な機能を有していても低価格で導入できるようになってきました。たとえば、Microsoft社のPower Automateなどは、メールやSNSなどとの連携機能も豊富で、Windows10以降のユーザであれば無料で使え、有料版でも低価格でかなりのPC作業を自動化できます。
こうなると、RPAツールも差別化できないと生き残っていけません。他のノーコード開発用ツールと同様に、単純作業のPC操作の自動化のRDAが目的であれば、業務担当部門でオフィスツールの位置づけで導入し、手間もコストもかけない風潮になっていくでしょう。
一方本格的にプロジェクトを組んで、業務プロセス間の連携をして業務全体を自動化するようなケースのRPAは、各プロセスのRPAの複数のロボットの統制が取れ、一元管理できるようなかなり汎用的なツールを、情報システム部門を中心に、生産性向上や、運用効率アップのために採用することが考えられます。この辺りの棲み分けをせずRPAを導入してしまった場合が、期待に沿うような業務自動化ができていないと感じる原因の一つになっているようです。
つまり、単体のPC操作の自動化と、業務全体の自動化では、規模によってまったく使用すべきRPAツールが異なり、その選択を間違えていると、コストメリットが出なかったり、機能的に自動化の連携ができなかったりし、RPAの導入に不満が残る結果となる可能性があり要注意です。

業務によっては、クラウドRPAのように、特定業務に特化した自動化ツールやサービスを採用した方がよい場合もあります。それゆえ、業務全体を一貫して自動化できる高額なツールを使用しなくても、個々の業務プロセス毎のタスクは、RDAレベルのPC操作の自動化ができるツールに任せ、自動化されたタスクを繋ぐために、EAIやETLツールを採用するという方法もあります。これにより、RPAツールが苦手とする大量のデータ連携も自動化できるので、結果的に業務が早く終了する可能性もあります。自動化を適用したい業務によって、最適なRPAツールというのは異なってしまうため、無理して1つのツールに統一してしまわないのも今後必要でしょう。

業務自動化に適したツールを選択するには、既存業務の可視化を行って業務フローを把握し、各RPAツールの特徴を理解した上で、コストも重視し、その業務に最も適切な時代に即したツールが選択できるようにトレンドやRPAの最新情報を入手しておくことが大切です。


RDA目的であえば、RPAツールは身近なオフィスツールになる


RPA, ノーコード