業務手順を限界まで減らすBPRの進め方


業務プロセス改革であるBPRを進める最初のステップとして、業務プロセスの可視化による業務プロセスの見直しがありますが、その中で業務手順をなるべく最小になるまで減らすという意気込みがとても重要となります。
BPRがBPI(業務プロセス改善)と異なるのは、改革のためには、既存システムのやり方を否定して全く違うものを創造することが必要だということです。今迄のやり方を踏襲するということは、安全ではありますが、それでは無難なシステムのままで、画期的な効率化や生産性の向上は期待できません。

全く異なる新たな業務手順を創造することは、決して楽ではありません。よって、視える化した既存のプロセスを元に業務手順を限界まで削除していくことで、アウトプットが同じでもまったく別の業務プロセスのフローを作ってみることがお勧めです。業務の手順を削減するために全く新しい業務フローに行きつくこともあり、結果的に斬新なアイディアによる新たな業務システムの再構築が期待できるかもしれません。
その際、リスク分析はもちろん必要です。但し、リスクの対応策として、リスク回避や、リスク軽減のために業務手順が多くなっているのであれば、リスク分析をした上で、削除できそうな業務手順はリスクを許容することを検討し、思い切って無くしてみるのです。その際、エラーチェックなど別の自動化できるプロセスによって代替できるのであれば、リスク軽減策の選択も可能です。今まで常識と思っていた既存の業務手順は、いろいろなケースを想定して安全のために手順が多くなってしまっているかもしれません。まずは、過去の業務手順を一旦クリアし、業務の成果物をアウトプットするまでの最短の手順を一から考え、それを実現するためにどうしても避けられないプロセスのみにそぎ落としてみることが必要です。

業務手順の削減を進める時のポイントは、常識を疑うことと、自動化です。
たとえば、パッケージソフト販売の場合、過去には、その商品の購入希望者に住所の入力まで求めていましたが、今ならダウンロードで納品できるソフトに住所が必要でしょうか?ユーザにとって、購入時の手続きはできる限りシンプルな方が、購入途中で離脱するリスクを軽減できます。また、最初の購入情報を登録可能にして、再購入はクリック1回で済むようなオーダーシステムにすれば、リピート率のアップが期待できます。現在の通信販売業界の実情を見れば、以前はユーザに購入時の情報入力をしてもらうのは当たり前で常識だと誰もが思っていたものを、システム側で自動化することにより他社より少ないクリックでの購入を可能にた企業が圧倒的に業績を伸ばし躍進していることは、既に周知の事実です。
限界まで手順を簡略化するためには、システム内でプロセスの自動化をすることが必須と考えるべきでしょう。単純に無駄で不要になった手順については省けばよいのですが、残った手順についても、人が楽をするために徹底的に業務プロセスを自動化することがBPR成功のカギとなります。たとえば、領収書の必要な経費精算の業務を、リモート環境からスマホのカメラ撮影でも可能にする事例では、以前であればスマホでの業務作業など常識的に考えられないという雰囲気でした。それでも、経理ソフトとの連携や認証確認などの自動化によってセキュアな環境を担保してそのセキュリティリスクを軽減し、スマホでも簡単に処理できるようにすれば、テレワーク時代にわざわざ経費精算のために会社に出社しなくても、社外から都合がよいときにいつでも作業できるという圧倒的なメリットを享受できます。

BPRを進めるポイントとして、業務の手順を限界まで減らしてみるという考えを関係者全員で共有して、既存の業務システムのやり方には依存しないという全員の強い意思が重要です。


BPRは、限界まで手順を減らしプロセスを自動化する


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