業務改革に求められるのが、成果はもちろんですが、変化とスピードです。作成されるべきシステムは、もう二度と陳腐化したレガシーシステムの二の舞にならぬよう、常に最新技術を取り込み成長し続けなければなりません。そのためには、要求や問題に関して迅速に対応ができ、GUIツールなどを使用して開発の専門知識がない者でもシステム開発ができるローコード開発に期待が集まっています。
開発言語の進化は、AIなどと同様にマシン性能の進化に依存してきました。アセンブラやCに対して、COBOLやJavaのような言語が登場し、現在ではコンパイル形式からソースを直接指定できるPythonなどのインタプリタ形式が多くなってきました。インタプリタ形式では、コンパイルの手間が省ける反面、ソースコードを機械語に翻訳しながら実行するため、現代のマシン性能でないと処理が遅くてパフォーマンスに影響があるからです。もともと、パソコンの登場とともに、一緒に世の中を一世風靡したBasicは、インタプリタ形式で一般的な人たちにもプログラミングが簡単な言語でしたが、個人ユースは別としてパフォーマンスが悪いので使用する業務は限定されていました。人が使いやすく、覚えやすい言語というのは、数行のコーディングで、機械語に翻訳するとかなり膨大な量になります。それは、本来機械語で行っていたコンピュータへの指示を、種別にパターン化し、そのパターンをさらに集めて汎用的なパターンに集約することで、よく実行していた処理のコーディングを少ないコードで指示できるようにしたものが、各開発言語となります。そのため、人のコード作成が楽になればなるほど、動くモジュールは多くなります。パターン化の累積したものの集まりが、ローコードで行う指示のひとつひとつに該当するため、ある程度指定できることも限られてしまいます。
こうした理由により、ローコード開発は、開発できるプラットフォームが限定されていて、特殊な細かい動きを開発できる柔軟性が少ないという欠点もあります。但し、こうした制限が許容できる環境であれば、現在はローコードより更に上を行くノーコード開発も盛んにもてはやされるようになってきました。これを利用できる環境で、開発ができるのであれば、プログラミング知識がない業務担当でも業務システム開発ができるようになるかもしれません。そうなることのメリットは多く、高度な知識が必要な基本的なセキュリティ対策を言語側で解決済みの場合が多く、バグの発生も極力抑えられます。そして、従来では個性が出やすく解読がやっかいなコーディングの癖を気にすることなく、システムの機能の追加や変更が可能になります。
数年前までは、プロの映像加工技術と機材が必要であった動画の加工でさえ、若者は普段のスマホ操作で簡単に行って、そしてSNSのストーリー機能など加工してネットにアップしてはすぐに消します。これも、スマホの性能アップとアプリの進化のおかげでしょう。こうした状況が、ビジネスの世界でも当たり前になると、エクセルを事務職でも使用するのが当たり前になったように、アプリ開発は、システム部の開発担当から、業務担当へ移っていくのかもしれません。その流れの一環として、オフィスでのRPAツールの活用がブームとなった経緯があります。例えば、ホームページの制作ひとつとっても、専門家でなくてもやる気さえあれば誰でも作れる環境になってきました。
となると、やはりアジャイルの開発スタイルの流行りもあり、業務プロセス改革を効率的に推進するには、今後はローコードやノーコード開発は注目すべき重要ポイントです。
ローコード開発は、システムのレガシー化の防止で期待されている