2019.11.11
ロボット社会とベーシックインカム
ベーシックインカムは、生活をするのに最低限必要な金額を国民全員に一律に支給しようという考え方です。
生活保護制度では、生活に困窮する人だけが対象なので不正受給など様々な問題がありますが、ベーシックインカムでは、全員に支給することで、そうした問題が解決されます。また、貧困対策だけではなく、年金などの社会保障制度を簡素化することにもつながり、行政コストの削減もできます。副次的には、景気対策にもなり、犯罪の減少や、地方の活性化なども期待できます。
もちろん、全員にお金を渡したら、働かない人も出てきて社会が回らなくなるのでは?という懸念もあります。
この制度の利用を進めるのであれば、労働に関して、一律に8時間労働を強いる考えは変えていく必要があります。労働は、生活のためにお金を稼ぐことが目的ではなく、社会の役に立ち、互いに助け合って生活するための権利と義務という考え方が必要かもしれません。憲法27条1項に「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」とありますが、ベーシックインカムという新しい社会保障制度を受けるのであれば、国民はみんな基本的には仕事をしなければならないという考え方に変わりはありません。但し、それが強制的なものでなく、ロボットなどを利用しながら、その人に合った労働条件でゆとりある生活ができることが期待されます。
ベーシックインカムは、社会主義的発想に似ていますが、資本主義を否定するものではありません。むしろ、うまく活用できれば、労働することへの制限が緩和され、いくら稼いでもいいので労働意欲が増すケースもあります。例えば、年金のように、まだ身体が丈夫でもっと働きたくても一定額以上働くと減額されたり、生活保護のように働くことによって受けられなくなったりすることがなくなります。
誰しも、ロボット社会が到来しても困窮することへの不安を感じることなく、自分たちのペースで好きなだけ労働できる環境を作る一つの方策として、ベーシックインカムという制度は、有力な候補になることでしょう。
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