2020.04.15
感染対策とプライバシー
新型コロナウイルス感染症拡大を阻止する対策として、韓国がとった方法が称賛されています。
その対策の中で、プライバシーの問題が話題になっている理由が、政府がWebサイトやアプリ通知を使ってコロナウイルスの感染者の感染前の行動を公開してしまっているからです。個人名はさすがに出ていませんが、年齢、性別、職場、おおよその住所、利用したコンビニや乗り物等が、ネットで誰でも見れる状況になってしまっています。
そして、そうした情報を元に作られたアプリで、地図上で感染者がいた場所を簡単に知ることができます。
こうしたネットで確認できる日々更新された情報は、非感染者にとっては、とても欲しい情報であり、感染を防ぐ抑止力にもなります。
しかしながら、有益な情報としては、日本のように県や市で何人感染したというおおざっぱなレベルでは役に立たず、かなり詳細な情報公開が求められるため、SNS等の情報を照らし合わせれば、感染者が特定できてしまう心配があります。
こうなると、感染者や濃厚接触者、立ち寄ったお店の関係者などにとっては、隠しておきたい情報も暴露されてしまいます。そして、感染に対する偏見が強いため、場合によっては、誹謗中傷の対象となってしまう危険性もおおいにあります。
積極的な情報開示は、感染拡大対策に関しては安心につながることは理解できますが、こうした韓国政府のように統制を強化すると、自由が制限されてしまうという懸念があります。
とはいえ、韓国国内の雰囲気は、個人のプライバシーよりも社会の安全をとるべきだという国民の声が大きいようです。
プライバシーを犠牲にすることと、統制を利かせることはトレードオフの関係にありますが、韓国では完全な情報共有と国民の協力こそが、感染拡大を防ぐということを信じて実践されているようです。
一方、日本では、韓国のようにはマイナンバーによる管理も進んでおらず、プライバシーは、個人情報保護の観点からも守るべき重要な課題として、韓国同様の統制の利いた即効性のある政策は、なかなか実行できない環境にあるようです。
プライバシーを重要視して、共産主義的な個人行動に対する統制に消極的であった、フランスやアメリカが、結果的に、ウイルス感染拡大対策のためにロックダウンを実施したことを見ると、日本でも対策を見直すべきかもしれません。
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